X の DM にて「福岡に出張予定があるので、LUT-Network について話を聞けませんか?」とのご連絡を頂いたのが先週の話。さっそく昨日の2025/7/26(土)に、博多駅にて技術交流を行う場をセッティングできましたので、ご紹介です。
若干二十歳のスーパークリエイター秋穂正斗さん
連絡を伺うまで私も詳しく存じ上げなかったのですが、既に高校生のころ福岡未踏などでご活躍だったという秋穂正斗さん。
2024年にNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)主催のSecHack365に採択、日本のセキュリティ人材トップ40名に選出され、AIセキュリティ(敵対的攻撃等)の研究開発を行っておられ、現在は東京でフリーランスとしてWebアプリ開発およびAIエンジニアリングに従事しつつ、ZEN大学の学生でもあられるとの事。
聞けばまだ二十歳とのことで、今後のご活躍が期待できる若手の方が LUT-Network に興味を示して頂いたのは有難いことです。
博多駅で懇談会
土曜日で多くの人で賑わう博多駅での落ち合い、まずは昼食をということで KITTEマルイ でご一緒に食事をさせて頂きました。

ここではじめてお互いの自己紹介や経歴などを情報交換。
LUT-Network の話の前に、業界の話やキャリアの話など、有意義な情報交換をさせて頂きました。FPGA以外にもいろいろな私がやってきた技術にも興味を示して頂けたようで大変有意義でした。
また、フリーランスとしては私の先輩ですので、事業のやり方とか、それこそ青色申告のやり方なんて話までできて大変ありがたかったです(笑)。
技術交流会
土曜日という事と急な話だったこともあり、少し歩くことになりましたが、レンタル会議室を借りてそこで技術交流会を行いました。

私からは LUT-Network の説明をさせて頂きましたが、「リアルタイムコンピューティング研究所」という屋号を付けた経緯から、始まって、リアルタイムに計算することの意義や難しさ、リアルタイムに実行できるAIとしての LUT-Network の着想、微分可能(Differentiable)なLUT のモデルに至るまでの過程など、ボツになった裏話や BinaryBrain 作った話なども含めて順を追って説明させて頂き、最後にようやく今のモデルの計算原理の話をさせて頂きました。
色んな所で鋭いツッコミを入れて頂き、私も「そういえばなんでこうしたんだっけ?」とか、「ここは試せてるけど、ここはまだ試せていない未知の領域ですね」などとか多くの新しい気付きを頂きました。 結局 0 と 1 しかない離散値を扱うデジタルの世界はアナログのように微分できないわけですが、「1っぽさ」とか「0っぽさ」という確率変数の世界にしてしまうと連続値になるので微分できますよと言う部分と、じゃあほんとに確率値かといとそういうわけではないんだけどやってみたらなんか学習しちゃうんですよねという、実験的事実の発見が LUT-Network の本質的な部分なのかと思います。

また、秋穂さんは脳の仕組みなどにも大いに興味があるという事で、実際に脳に電極を刺して行うような実験の話とか、視神経で光がニューロンの発火に変換される仕組み(化学反応)が、イメージセンサ(光電効果)と全然違うみたいなのも話まで飛び出しました。
攻殻機動隊などの話も飛び出しましたので、侵襲型の攻殻機動隊に対して、非侵襲型の電脳コイルのようなやり方もあるよねという話をさせて頂いたり、本当に楽しい時間でした。
生物が35億年かけて獲得してきた知性の仕組みを参考に、電気信号の世界でのイノベーションに活用していきたいとのことで、LUT-Network のアイデアが、今後の秋穂さんの今後の新しいアイデアの役にてば嬉しい限りです。
おわりに
結局、会議室の延長も行って、3時間にわたる議論をさせて頂きました。
私ぐらいの歳になってくるとなかなか若い方が訪ねてきてくださるなんてことは少なくなってきますので、本当に有難い話でした。日本もまだまだ先が楽しみですね。
最後になりますが、楽しい議論の時間と、ブログでの公開も快く許諾頂けました、秋穂正斗さんに改めて感謝申し上げます。
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